Group IMD

カンヌ・ライオンズ2018から見えた10の傾向

今年のカンヌ、そして業界全体に一番影響をもたらしたトピックスは何か?

Group IMDとHoneycombは、今年のフェスティバルの共催からそんな疑問にお答えします。弊社の専門家はもちろんのこと、先進的なブランド、エキサイティングなスタートアップ、そしてあのSir John Hegarty氏自らの洞察など、今年の広告業界を取り巻く注目のトピックスをまとめました。

皆様も以下のまとめ以外に、今年あなたの世界でどんな#MadeASplashがあったか、是非投稿してみませんか?

 

1. 小さな画面=大きなインパクト

お気づきの方も多いでしょう。今年のカンヌでの話題のいくつかは、広告プラットフォームとしてのモバイルビデオの重要性についてでした。モバイルビデオの動画広告は大きな牽引力と共に収益をもたらしています。消費者の目を引き付けてやまないモバイルプラットフォームは予算配分の増加の一途をたどるのみで、その傾向は来年のカンヌでも多くのブランドから、注目され続けることでしょう。

 

2. 動画もコンテクスト広告に

以前より文字ベースのオンラインコンテンツから特定のキーワードを検出し、それに関連した広告を挿入することが可能となっていました。そして現在、動画コンテンツにもキーワードをタグ付けすることで、動画コンテンツに関連した広告配信が可能になってきています。その大いに影響をもたらせる新たな進歩を、先進的なブランドは既に導入に乗り出し始めています。

 

3. ビデオテックが王者に君臨

今年のカンヌはアドテクとビデオテックのプレイヤーがひしめき合っていました。つい先日にも米国AT&T社がTimeWarnerを買収し、早々にデジタル広告マーケットプレイスのAppNexus買収を発表、大手DSPの重要性を改めて認識させられました。そして動画コンテンツのさらなる商用化に関心を示しているのはそんな彼らだけではありません。米国Comcast(自社イベントパーティーのMC役にMos Defを出演)、AppNexus、Teads、Innovidなど、数多くのビデオテックのプレイヤーがカンヌの脚光と注目を集めるべく、フェスティバル中で最もエキサイティングなヘッドラインの創出に競い合っていました。

 

4. 高まるソーシャルメディアの重要性

今年のフェスティバルではブランドの参加が若干低かったかもしれません。しかし、その代わりにテクノロジーとソーシャルメディアの大手各社の存在が際立ちました。それが一番分かり易く浮き彫りになっていたのは以前UnileverがホストしていたビーチをFacebookが完全に占拠していたことでしょう。また、TwitterやYoutubeもそれぞれビーチを占有し、SpotifyはKylieさんを起用するなど、十二分に注目を得ていました。

 

5. 広告=メディア

世界最大の広告祭で、メディアのViceが主催したパーティにエントリーのリストバンドすら持たない人々が300人以上並んでいた。そんな光景から言えることは、広告とメディアの境を見定めることが困難になってきている以上に、その区別をもはや誰も気にしないことだと言えます。メディアとクリエイティブの境界線で同化が進み、今回のフェスティバルでも最高のパーティーはその二世界の真ん中で一番盛り上がっていました。

 

6. ついにレッドカーペットにアドテク参上!

アドテクは長年カンヌにおいて重要な役割を果たしてきましたが、どのパーティーでも際立って注目の的になることはありませんでした。しかし、今年はGroup IMD、Honeycombやnever.no社などにより、アドレッサブルの技術が手の届く領域になったことで、多くのプロデューサーやアカウントディレクターがその新技術の可能性を真剣に見始めています。そんな彼らは広告のあらゆる最適化に期待を高めると共に、ブランド側の関心の向上から実践も増え、2019年こそ本格的にテレビのプログラマティック元年になりそうです。

 

7. 全てのインハウス化

コスト削減とクリエイティブコントロールの向上を図るべく、ブランドやエージェンシーは制作からデータ取得までをも含む全ての広告業務をインハウス化させる傾向が続いています。ペプシの最近の失敗にもめげず、グローバルブランドは広告運用を一極集中させており、ポスプロや制作プレイヤーはまだそれに追い付けていません。また、業界全体がフルサービス型モデルに移行し、広告サービスからより正確かつ有用なデータをインハウスで分析する需要も高まり、今後それに応えるべく新規サービスやプレイヤーが誕生する機会にもなっています。

 

8. コスト>品質

コスト対品質の議論はついに決着付きました。スマートテクノロジーによってクリエイティブの質を落とさず、ROIを向上させることが可能になり、今年のビーチパーティーでは自動化と効率化がバズワードになっていました。

 

9. ドライバー役はデータ

データドリブンの広告モデルへの移行は今後も続く傾向にあります。より小規模なエージェンシーはPublicisを例に自らのデータドリブンモデルを開発するために予算を再編しています。また、クリエイティブ領域でもデータ活用の最適化が見られるようになっている中、アクセンチュアやデロイトなどのコンサルティング大手は、クリエイティブやメディア業界においてデータ主導型の新たな契機を積極的に模索しています。

 

10. フォーカス、フォーカス、フォーカス

常にそばにあるロゼシャンパン。それでもカンヌの著名人は皆焦点を失うことなく、鋭いフォーカスを見せていました。ブランドの多くは予算の最適化とコミュニケーションの合理化に向けて、厳選したメディアチャネルにフォーカスするようにしています。そんな中、重大なアドフラウドやデータ漏えい事件を背景に、グローバルブランドは、ポートフォリオ内でもローカルブランドと収益性の高いコア市場に集中するようになっています。